2020.12.27

最近取り組んでいること 坂本憲治(教育・臨床心理専攻)

私の専門は臨床心理学です。心理職(臨床心理士、公認心理師)としての実務経験の半分は医療、産業分野における労働者の心理支援に、半分は教育分野における心理支援に従事してきました。

研究テーマは、心理職の多職種協働(collaboration)です。医師や看護師、産業保健スタッフ、学校の教職員などの異職種といかに協力関係を築き、発展させるか。その方法を追究してきました。博士論文では「多職種協働の発展段階モデル」を提出しました。その後、モデルの検証を進めています。

近年はキャリアカウンセリングの研究に取り組んでいます。世の中はVUCAの時代(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)と言われます。COVID-19を背景に予測のつかない状況が加速する中、私たちはどのようにキャリアを形成できるでしょうか。キャリアカウンセリングは、進路選択、意思決定、転機を支え、ポジティブヘルスをも伸長させようとする心理支援です。今後の心理職に期待される支援技法の一つと考えています。

2015年、産業界ではストレスチェック制度が義務化されました。心理職は、今後企業に参入し、人事部や産業保健スタッフと「協働」して幅広い心理支援を展開する時代になるでしょう。しかし、産業・労働分野の実践モデルは「大都市・大企業」を想定しており、地方都市・中小企業の心理支援はほとんど未開拓です。これから九州・福岡から発信できることはたくさんあるように感じます。福岡産業保健総合支援センターの産業保健相談員を兼務しながら、地方都市ならではの(地方の企業文化を生かした)支援モデルを思案しているところです。

多職種協働、キャリアカウンセリングの実践・研究から、ともに心理職の新たな役割を模索して参りましょう。