2025.05.29

「在学生・修了生からのメッセージ」の公開について

本ホームページの各専攻紹介メニューに掲載しておりました、「在学生・修了生からのメッセージ」を

一度に確認できるよう、以下のページにまとめました。

入学を検討されている方は、ぜひご覧ください。

 

在学生からのメッセージ

◆ 史学専攻


古林  直基さん (令和2年度入学 博士課程後期)

史学専攻最大の特徴は、日本史・東洋史・西洋史・考古学の垣根を超えた密な交流・議論ができるところにあり、様々な角度から歴史を見つめています。
また、歴史学科が運営している学会、七隈史学会は院生が中心となって支えており、院生全員が一つの目標に向かって団結し、それぞれの研究に励んでいます。

中村 昂希さん (令和6年度入学 博士課程後期)

史学専攻は、日本史・西洋史・東洋史・考古学の四つの専修から構成されています。それぞれ異なる時代や地域、テーマを専門とする先生方の講義・演習が充実しており、多角的な視点から歴史学を学ぶことができます。
また、大学院と学部合同の研究会を開催していることで、先輩・後輩の交流が盛んなことも史学専攻の大きな特徴です。

 

◆ 日本語日本文学専攻


谷崎 仁美さん (令和6年度入学 博士課程前期)

大学院は、深い思考力を養うことのできる場所だと思っています。入学して一年が経ちましたが、授業での対話や議論を通して、物事をより多角的な視点で捉えることができるようになってきました。さまざまな分野に精通した先生方や先輩・同期の仲間のおかげで、日々新たな自分に出会いながら研究することができています。
また、学会に参加できる機会の多いことも大学院の特徴の一つだと思います。日本語日本文学専攻では、福岡大学日本語日本文学会や、年に一度開催されている台湾の輔仁大学との合同研究発表会があります。もちろん、その他外部の学会に参加することも可能です。少しでも多くの場で発表することができるよう、日々研究に励んでいます。

 

◆ 英語学英米文学専攻


谷口 元基 さん (令和6年度入学 博士課程前期)

私は学部生時代より、自分の英語科の教員になるという夢を叶えるために英語教育に興味を持ち勉学に励んできました。しかしながら、日本語を母語とする日本人にとって文法など多くが異なる英語を勉強することは、大変難しいことです。そのような言語を勉強するためには英語を学ぶことは楽しいことと思うこと、つまり「動機」が必要となります。私は福岡大学大学院で「どのような時にその動機が下がってしまうのか」ということに興味を持ち研究をしています。福岡大学大学院では、教育学、言語学、などの様々な分野から自分の持つ疑問を研究することが出来ます。加えて、自分の専攻する学問だけでなく英語史や英米文学など様々な分野に知見を広げ、視野を常に広く持つことが出来るのも本学大学院の魅力です。大学院進学というと多くの不安もあるかと存じますが、学部のような大人数の授業とは異なり、少人数で他の学生や先生方との対話形式で講義が行われる大学院では自分の研究に関する相談にも様々な視点から助言をいただくことが出来ます。少しでも興味のある方は、大学院への進学を進路に加えてみて下さい。あなたの疑問を解く鍵が見つかるかもしれません。

宮田 玖美 さん (令和6年度入学 博士課程前期)

私は英文学に関心を持ち、学部時代に早期履修制度を利用して本大学院の授業に参加しました。そこで本研究科でより深く学びたいと思い、現在は19世紀イギリス作家のチャールズ・ディケンズの作品について研究を行っています。この英語学英米文学専攻は、それぞれの専門分野を探求する学生が年齢や国籍を問わずに集まる「多様性」溢れる学びの場です。そのため、少人数での対話的な授業では自分の専門分野だけでなく、他の分野についても様々な視点から深く学ぶことができます。先生方や他の学生からの学びは、自分だけでは気づかない視点や考え方に気づかせてくれます。そして、私はそれが自分の研究や生活に活かされているといつも感じています。研究だけでなく、人としても成長できる。これが本研究学科の魅力だと思います。

大宅 由加利 さん (令和2年度進学 博士課程後期)

大学院進学の動機は、「ネイティブ・アメリカンの文学を研究したい」、そこからつかみ取ったことが生きていく上での「糧」となればと考えたためです。博士課程前期では、専門分野の先生から直接ご指導頂き、日々多くの新しい視点を得て、修士論文を完成することができました。研究を進める過程で気づいた課題を、引き続き探求したいという思いから、博士後期課程進学を決心しました。大学院では、英語学、英語教育学、英文学、米文学という専門分野の先生方から、多面的に学べる機会があることも大きな魅力です。

 

◆ 独語学独文学専攻


中島 萌香 さん (令和6年度入学 博士課程前期)

私の研究対象は、E.T.A.ホフマンの『くるみ割り人形とねずみの王様』とそれに関連するバレエ作品群です。一般によく知られるのはバレエ作品の『くるみ割り人形』ではないでしょうか。そのバレエの台本の元となった原作を読み込むことで、バレエ作品との相違や台本の変容の意味合いも、さまざまな形で明らかになるはずです。まだ私の研究は始まったばかりですが、これから研究対象としっかりと向き合うことで何が見えてくるのか、楽しみです。
本学ではドイツ文学だけではなく、様々な分野に造詣が深い先生方の指導が受けられます。また、大学院の授業では、先生との対話を重ねることで深い思考力を培いながら、研究を進めることができます。この素晴らしい環境の中での研鑽の成果を、最終的には修士論文としてまとめるつもりです。

田平 廉太朗 さん (令和6年度入学 博士課程後期)

「釣り」の研究って?! 私は修士論文において、ドイツにおける娯楽としての「釣り」と動物保護の関係を論じました。「釣り」は動物保護、環境問題など現代の複雑な問題を内包した興味深い研究テーマです。研究過程でドイツには魚をめぐる動物観に歴史的差異ばかりでなく,地域差もある可能性を見出だし、博士課程後期において文化史的・法制史的側面からこのテーマにアプローチをかけています。本学では、文学や文化研究の手法をもとに幅広い指導が受けられ、多方面からの指導により考えが広がり、研究に厚みが出てきたのを実感しています。研究成果を博士論文としてまとめ、世に問うことを目指し鋭意奮闘中です。

 

◆ 仏語学仏文学専攻


横内 香音 さん (令和6年度入学 博士課程前期)

私はフランス語を勉強していく中で、新しい自分と新しい世界を見つけました。学部で文学や言語学を学ぶ中で興味を持ったことを、大学院では先生方とともにさらに詳しく研究できます。また、早期卒業制度を利用して、効率よく学ぶことができるのも大きな特長です。私自身、この制度が大学院進学への大きなきっかけとなり、現在は文学についての研究を進めています。

 

◆ 教育・臨床心理専攻


森田 夏凜 さん (令和6年度入学 博士課程前期 臨床心理分野)

私は公認心理師の資格取得を目指して、学部を卒業後、福岡大学大学院に進学しました。大学院では、日中は併設された臨床心理センターでカウンセリングや知能検査を行い、また、学校適応支援教室「ゆとりあ」の指導員として活動を運営するなど、豊富な実習を経験しています。さらに夜間は、カンファレンスやグループスーパービジョン、心理師として働くための基礎を学ぶ講義を受けています。
入学した当初は、終日大学院で活動することや実習をこなすこと、そして何より人の心に向き合うことに対して不安を感じていました。しかし、すぐ傍で見守り、困った時には一緒に考えてくださる先生方や、互いに励まし合い、成長を高め合える同期のおかげで、忙しい日々の中でも充実感と楽しさを感じながら生活しています。
本学は、現場に即した学びとなる“臨床”と、臨床を支える基盤となる“基礎”の両方をバランスよく学ぶことができます。また、少人数制のため、自分の意見を発信したり、積極的に質問をしたりすることができ、主体的に学べる環境も魅力の一つです。そのような環境で学ぶ中で、自分の性格や価値観などを深く知り、特性として受け入れる“自己理解”が促され、次第に自分とは違う性格や背景を持つ人の立場に立って、相手の感情や意図を理解しようとする“他者理解”の視点が少しずつ養われたと感じています。今後は、相手を知りたいという気持ちを態度として表現し、「この人になら相談しても良い」と思っていただけるような在り方を身につけていくことを課題にしています。
本学での学びは、心理臨床家としてだけでなく、人との関わりや対話を通じて豊かな人生を送るためにもきっと役立つと確信しています。皆さまと一緒に学べる日を心より楽しみにしております。

 

修了生からのメッセージ

◆ 史学専攻


九州国立博物館 研究員

小嶋 篤さん (平成22年度 博士課程後期 満期退学)

史学専攻では、学会発表・論文投稿という「実戦」の研究活動に勤しむことができる。どのように勤しむかは、人それぞれだが、私は今後の研究人生の基礎を広げることに重点を置いた。2013年度に提出した学位論文は、一里塚といった内容であるが、研究素材と研究方法の多様さには手応えがある。大学院では悔いが残らないよう、戦略的に研究活動に勤しんで欲しい。

 

◆ 日本語日本文学専攻


中原中也記念館学芸担当職員

原 明子さん (平成22年度 博士課程前期 修了)

文学館で働きたい。もっと文学を深く掘り下げたい。これが進学の動機でした。 先生の細やかなご指導のおかげで、拙いながらも日本の近代詩に真剣に向き合った日々。 専攻学科の特性を生かして、日本文学のさまざまな分野にも触れることができました。 対象を掘り下げると同時に、広い目で客観的にみつめること。問いかけることの大切さ。大学院で培ったこの視点が、今の私の仕事を支えています。

福岡大学非常勤講師

佐藤 ももさん (平成25年度 博士課程前期 修了)

私は大学卒業後、日本語教師として約5年勤務していました。しかし、業務の中で自分の知識不足を感じたり、日本語の文法や語彙、発音などに疑問を持ったりすることが多くなり、大学院進学を決心しました。大学院生時は学びながら、非常勤講師として日本語教育に携わりました。現場での疑問や課題について、理論を学ぶことで納得できたり、反対に現場での経験が研究や理論の理解に役立ったりしました。社会人を経てからのほうが学びが深くなったように感じます。
現在は海外での日本語教育を経て、国内の日本語教育に携わっています。大学院での学びを含め、今までの経験や知識を以前よりも日本語教育に生かせていると思います。

 

◆ 英語学英米文学専攻


北九州市立大学基盤教育センター

永末 康介 さん (平成16年度 博士課程後期 満期退学)

大学院進学を検討している人の多くは、その後の将来に不安をもっていることでしょう。
ただ、その不安は進学しても消えることはほぼないので、考えることはしばらく止めておきましょう。
大学院では、誰かから教わるのではなく、自ら知を求めに行く態度が肝要です。
身についた専門的知見が他の学問領域とどのように交流できるかを理解することも求められるでしょう。
あとは、出来る限り多く失敗を披露することです。
失敗とは研究の終わりではなく、その研究の続きであり、新たな研究の始まりなのです。
これらのことを楽しみながらできれば、大学院での時間は豊穣なものとなり、不安とうまくつきあえるかもしれません。
以上、私の経験を棚に上げた上でのメッセージでした。

福岡大学 共通教育研究センター

劉 莎 さん (平成26年度 博士課程後期 満期退学)

大学院に進学した理由は単純で、英語の能力を伸ばすことでした。福大の人文科学研究科では幅広い科目について勉強できます。私の専攻は音韻論ですが、言語学と文学両方の授業を履修して、視界が広くなりました。福大の図書館は日本有数の規模を誇り、研究と勉強にやさしい環境を備えていると思います。人文科学研究科の先輩と後輩の関係や、先生方と学生の関係は近く、私はいつも先輩たちに助けられています。特に恩師の山田先生には大変感謝しています。山田先生は熱心にゼロからご指導いただき、先生のおかげで、博士学位を取得しました。また、Jefferson M. Peters先生にも英語表現をチェックしていただき、大変お世話になりました。
人文科学研究科に入学した頃は、熱心にご指導いただいた先生方や頑張っている先輩たちの姿を見て、研究を続けたい思いと英語教育に携わりたいという思いが強くなり、大学教員としての道を選びました。現在は福大の共通教育センターで英語を教えています。これからも、研究と英語教育に頑張っていきたいと考えています。

福岡大学キャリアセンター事務室

豊島 しおり さん (平成28年度 博士課程前期 修了)

「英語を使って、ジェンダーについて研究したい」と思ったのが、大学院進学を決めたきっかけでした。私は、アメリカ文学作品をとおして、男女平等実現へのアプローチについて研究しました。学部時代は英語が好きという理由で言語学や文化・文学を学んでいましたが、大学院での研究は男女平等とは何かを自分の中で深く考えさせられ、定義することができ、また、人間として知識や視野を広げるとても良い経験となりました。多くの文献を読みあさり、ジェンダーを扱った作者の思いを考えながら研究をすることはとても楽しく、自分の生き方や考え方も大きく変化しました。まだまだ学びたいと考えている方は、ぜひ大学院という進路選択も考えてみてください。

福岡県公立中学校教諭

塩田 理紗 さん (令和2年度 博士課程前期 修了)

大学院では、英文学作品を利用し、アクティブラーニングを使った中学生への英語の授業案を考えました。きっかけは、学部の時に感動する英文学作品、作者の思いが詰まった作品に触れたことで、子供達にも感動を味わいながら英語を学んでほしいと思ったからです。苦しむ人々の声を代弁した英詩、気分が落ち込んだときに慰めてくれる英詩を読むことは子供たちの情操教育にも繋がると考えています。大学院で、様々な意見を聞き視野を広げ、子供たちにとって難しい場面を予想しながら作品に真摯に向き合えたことは、とても貴重な経験でした。

 

◆ 独語学独文学専攻


長光 卓 さん (令和元年度 博士課程前期 修了)

私は博士課程前期(修士)在学中に二十世紀ドイツ、とりわけ戦間期に活躍した作家ハインリヒ・マンの代表作『アンリ四世』に関する研究を行いました。大学院では専門分野に関する学識はもちろんのこと、研究に対する姿勢、いわば研究の「いろは」もご教授して頂きました。修士課程で学んだことは九州大学大学院の博士後期課程に進学した今もなお、私の研究の礎であり続けています。

デル カスティヨ,スサナ さん (平成21年度 博士課程後期 満期退学)

博士課程前期・後期を通じてオノマトペ(擬音語・擬態語)を研究しました。人文学に関わる様々な専門分野の先生や大学院生に囲まれて、広い視野で考察を深めることが出来ました。現在は、本学人文学部ドイツ語学科の専任講師として教壇に立っています。大学院生時代に受けた授業や研究指導を手本に、学生一人ひとりの問題意識や探求心を伸ばすよう心掛けています。

松鵜 功記 さん (平成11年度 博士課程後期 満期退学)

現在、研究しているスイスの作家マックス・フリッシュには大学のゼミで出会いました。演劇台本の翻訳で第八回小田島雄志翻訳戯曲賞を頂きましたが、演劇との出会いも大学でした。大学院は専門分野と自分自身の関わり方を探す場所です。そういえばよく先生方の研究室に出かけては、文学話に耳を傾けていました。それが今の私の道しるべです。

 

◆ 仏語学仏文学専攻


龍 真里奈 さん (平成29年度 博士課程前期 修了)

講義は丁寧かつ深く掘り下げられた内容で、教授との距離も近く多くのことを学べます。在学中に1年間ベルギーのUCL大学に留学もしました。この経験を生かし、秋から在フランス日本大使館で派遣員として働きます。

久留 雅美 さん (平成12年度 博士課程前期 修了)

少人数なので研究に集中できます。ベルギーの大学への1年間の交換留学を経て、勉強だけでなく「外国」という異なる環境、文化に深く携わることができました。当時の経験を生かし、現在は日本語教師として働いています。

 

◆ 社会・文化論専攻


後藤 晴子 さん (平成15年度 修了)

私は学科を卒業後福岡大学大学院の修士課程で修士の学位を取得し、その後九州大学大学院博士課程に進学しました。2013年にはエイジングに関する研究で博士の学位を取得し、現在は福岡大学をはじめ福岡市外の大学で非常勤講師や、福岡市史編さん事業な等の行政の文化財調査に関わりながら研究を継続しています。

 

◆ 教育・臨床心理専攻


宮里 梨々さん (令和5年度 博士課程前期 教育分野 修了)

この度無事に、修士論文の執筆と発表を終えることができました。振り返ると、充実した大学院生活を送ることができ、この2年間は本当にあっという間でした。
指導教員をはじめとする先生方には、いつも丁寧にご指導いただき、授業や研究活動に取り組んできました。授業や修論中間発表会などでは多くのご助言や励ましをいただき、温かいサポートが支えとなりました。
大学院では、先生方の調査や研究に携わらせていただくこともあり、より実践的な学びにつながりました。様々な分野や領域でご活躍されている先生方の下で学ぶことができたこと、光栄に思っています。
また、これまで多くの時間は院生室で過ごし、たくさんの思い出がつまった場所となりました。院生室にはいつでも、ともに論文を執筆する仲間がいて、切磋琢磨することができました。机の上には本を積み重ね、資料を開きっぱなしで帰宅することもあり、大変に思うこともあったかと思いますが、仲間の存在が励みになり安心となり、乗り越えられたことが多くあります。誕生日やクリスマスなど、イベントごとにはみんなで一緒に楽しんだこともいい思い出です。
このように、恵まれた環境で2年間を過ごすことができたと改めて実感しています。福岡大学大学院教育分野で学ぶことができて良かったと心から思います。ここで過ごした2年間の日々を大切に、経験を糧に、修了後も学び続けていきます。
先生方、同期、先輩後輩方、調査にご協力くださった方々に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

田中 里佳さん (令和3年度 博士課程前期 臨床心理分野 修了)

 現在、私は、精神科病院のデイケアで、心理専門職スタッフとして働いています。
自宅から通所される患者様のより良い地域生活を支援するため、創作やスポーツなどの活動プログラムを実施し、ニーズに応じて個別相談や就労支援活動を行っています。
また、デイケアという場所が、お一人おひとりにとって心地よくあたたかい居場所であることを目指し、多職種のスタッフと連携しながら運営しています。
私は、福岡大学で学部時代から臨床心理学を学び、心を扱う専門家である心理専門職になることを志し、福岡大学大学院に進学しました。
夜間に開講される講義を受講するほかに、日中に行う学内や学外での実践実習、修士論文の執筆など、充実した日々でした。戸惑いや挫折もありましたが、同期をはじめとした同じ「こころざし、夢」を持つ仲間と出会うことができ、支え合って前に進むことができたように思います。
在学中2年間を通して行う学内実習では、心理面接や心理検査を実施したり、ケースについて先輩方や同期、後輩たちと考えや意見を交わしたりと、幅広い学びを得ることができました。
特に、心理面接実習では、多様な悩みや葛藤を抱えるクライエントさんと実際にお会いし、その人生を聴かせていただくことがいかに貴重であるかをひしひしと感じました。その経験と感覚は、現在の臨床の中でも大切にしています。
総じて、大学院の2年間は、毎日のように心理臨床に触れ、考え、没頭した時間でした。
現在、精神科病院のデイケアで、心理専門職スタッフとして働く中で、言葉を丁寧に扱う専門家である心理職は、患者様自身も上手く言葉にできていない困りごとや、小さな変化に気づき、支援に繋げる役割を担うことができる職種だと感じています。大学院で学んだ基礎の上に、更に日々の臨床での新たな学びを積み重ね、心理専門職として研鑽を重ねていきたいと思っています。

西川 清花さん (令和3年度 博士課程前期 臨床心理分野 修了)

大学院を修了し、大学院で過ごした二年間を振り返ってみると、とても充実した日々だったと感じています。福岡大学大学院では、臨床心理センターや学校適応支援教室「ゆとりあ」での学内実習に加え、医療・教育・福祉分野での学外実習など多くの実践的な学びを得ることが出来ました。面接を担当し、先生方の指導やサポートを受けながら、クライエントさんがどうして今困っているのか、この場所で何ができるのかと丁寧に向き合う時間はとても有意義な時間でした。また、授業の中で先生方や院生と議論することで、多様な考え方に触れ、自分にはなかった視点で面接を捉え直すこともできました。院生のクライエントさんへの向き合い方や対応を知ることも良い刺激になったと思います。授業に実習にTA業務に修論の作成と、毎日とても忙しい二年間でしたが頼もしい先生方のもとで、同期や先輩、後輩と笑い合い、試行錯誤しながら過ごした時間はかけがえのない物となりました。大学院生活で得た学びや感じたことを大切に、今後も頑張っていきたいと思います。

医療法人社団堀川会 堀川病院

臨床心理士・公認心理師

杉山 茉希さん (令和2年度 博士課程前期 臨床心理分野 修了)

 私が心理専門職に興味を持ったきっかけは、高校生の時に心理学専攻の大学院生の方と関わる機会があったことでした。また、人の役に立つ仕事に就きたいと考えていたこともあり、心理専門職を志して大学・大学院に進学しました。大学院での2年間は、とても濃く多くの学びと経験を得られた貴重な時間でした。座学中心だった学部生の時とは大きく変わり、大学院では学内外でのたくさんの実習の機会をいただき、より実践的な学びが多くなりました。日中は実習や修士論文の作成、資格試験の勉強を行い、夜は授業を受けるというハードなスケジュールで一杯一杯になってしまうこともありましたが、先生方の丁寧かつ熱心なご指導や同じ目標を持つ同期たちに支えられ、無事乗り越えることができました。また、一つひとつのケースにじっくりと向き合うことができたのも今振り返るととても大切な経験でした。現在私は医療現場で心理専門職として働いていますが、大学院時代の学びがとても生きていると感じる場面が多々あります。たくさんの学びの中でも特に実感しているのは、「クライエントさんの伴走者として支えること」や「その方の強みを見つけて引き出すことの大切さ」ということです。当時はまだ経験不足だったこともあり曖昧な理解にとどまっていましたが、いざ現場で多くの患者様と関わっていると、とても基本的なことではありますが、患者様の力を信じてその方が進んでいく過程に一緒に寄り添い続けることの大切さを日々実感させられます。また、他職種と連携・協働する中で、その方の強みを見つけることも心理職に求められる重要な視点だと思います。大学院での学びと経験は現在の私にとって大きな糧になっていると感じています。これからも心理専門職として自己研鑽を重ね、より多くの方のお役に立てるよう、精進していきたいと思っています。
福岡県庁 保健医療介護部

健康増進課 精神保健福祉センター

末永 智子さん (令和元年度 博士課程前期 臨床心理分野 修了)

 私は学部時代、「地域で行われている精神保健活動」に関心を持ち、卒業研究を行いました。進路についてはそのまま公務員試験を受け就職しようかと悩んだ時期もありましたが、卒業研究での学びや現場での仕事内容を知るたびに、心理専門職としての資格を取得し専門性を高めた上で仕事に携わりたいと思い、大学院に進学しました。大学院に進学してからは、理論はもちろん、2年間通して学内での実習、学外での実習を継続的に経験しました。入学後は昼間に学内でTAや実習また公認心理師・臨床心理士試験の試験勉強も行い、18時からは授業に出席するという形で、一日中大学院で勉強していることもありました。今振り返ると大学院2年間は忙しくもあり、それとともにあるいはそれ以上に充実した毎日でした。中でも学内外での実習では、1つのケースにしっかりと向き合うことで、傾聴する姿勢やクライエントさんと伴走する大切さ、心理専門職としての在り方を学びました。自分が本当に心理職に就きたいのか、何度も考えさせられ、不安になることもありました。このような日々を乗り越えてこられたのは、同じ目標を持った同期やそれを親身に応援してくださる先生方の支えがあったからだと思います。また同期には、学部から進学した人だけでなく、社会人を経験された方もおられたので、教育や福祉などの他領域のお話を聞くことができたことも勉強になりました。現在仕事をしながら、大学院で学んだことが基盤になっているように感じます。公認心理師、臨床心理士の試験にも合格することが出来、これからも心理専門職として成長できるよう自己研鑽を重ね、邁進していきたいと思っています。
上野 大輔さん (令和元年度 博士課程前期 修了)
 これまでの人生を見つめなおし、これからの人生を楽しむための新しい視点を身に付けたいと思い、大学院を受験しました。これまで小学校の教員としてキャリアを積み上げていく中で、幾度となく悩みや葛藤がありました。また、年月を重ねていく中で組織の中における役割も変わってきました。さらに、青年海外協力隊でフィジーの小学校にて1年間過ごしたことで、国によって教育の在り方が本当に異なることを痛感しました。このような経験から、これからの時代に本当に必要なことは何かを見極めるために、再び学びなおそうと決断しました。2年間の大学院生活を終えて、その決断は間違っていなかったと実感しています。その理由として、自分自身が現在どのような世の中の枠組みの中で動いているのかが見えてきたからです。これは、現場にいるだけでは見えなかったことです。そして、世界中のあらゆる「教育」というものについて、より興味関心が深まりました。これからの人生において追求したい新しいことです。また、今の子どもたちと共に、本当に大切にしなければならないことがはっきりしたことです。それは「コミュニケーション」だと思います。働きながらの学業は想像以上に大変でしたが、様々な人や書物、研究との出会いがあり大変有意義でした。すべてへの感謝とともに、心身の健康を維持し、余生に繋げていこうと思います。
疋田 桃子さん (令和元年度 博士課程前期 修了)
 学部時代から福岡大学の人文学部で教育学を学んでおり、引き続き教育学に関する理論を学びながら、より実践的な研究能力や調査能力を身につけたいと考え、大学院に進学しました。実際に入学してみると、フィールドワークやヒアリング調査が想像以上に豊富であり、学部時代の調査活動よりもより一層充実した調査活動をおこなうことができました。また、学内の講義についても全ての講義がゼミ形式であるため、きめ細やかな指導や教授を受けることができました。このような充実した環境のなか、座学で知識や理論をインプットし、調査活動でそれらをアウトプットするという一連の流れを何度も繰り返しおこなうことで学部時代よりも高度な調査能力や研究能力を身につけることができたのだと思います。とりわけ指導教員の紹介で訪れた沖縄県の専門学校では2年間を通して何度も訪問させていただき、教育学に関する多くの知見を得ることができました。私にとってこの2年間は心から学問を楽しみ、今後の人生の糧となるような貴重な時間になりました。修了後はこの経験と知識・知見を活かし、次の代の学生たちが心から学問を楽しむことができる環境を作っていきたいと考えています。
社会福祉法人 福岡市社会福祉協議会

白谷 美紗樹さん (平成30年度 博士課程前期 教育分野 修了)

 私は学部を福大で過ごし、青年のキャリア形成支援についてさらに研究していきたいと思い、本専攻へ進学しました。夜間大学院ということもあり、これから研究者等を目指す人から、現場に身を置きながら通学している人まで、様々な人が学んでいます。こうした仲間と議論を交わすことを通して、互いの問いを深められたと同時に、「学問を追究するとはどういうことなのか」という本質的な部分に立ち返ることができたように思います。机上で「理論」を考えるだけではなく、一方で実践を「実践」のなかで留めるのでもなく、両者を接続し、それらの往還のなかで追究していく姿勢が求められることを学びました。
現在は、生活困窮等の社会課題にアプローチすることを通して青年のキャリア形成を支援していきたいと思い、ソーシャルワークの現場で働いています。学問の追究は大学院を修了して終わるものではなく、むしろこれからが本番であると感じています。複雑な現実を前に葛藤し、心が折れそうになることも沢山ありますが、大学院で学んだ姿勢を体現できるよう、努力を重ねていきたいと思います。
本専攻は、夜間大学院だからこその仲間との出会いが魅力の一つだと思います。これから入学を希望するみなさんも、ぜひ学習環境を十分活かして沢山の学びを得てほしいです。
福岡家庭裁判所 家庭裁判所調査官

朝木 里美さん (平成29年度 博士課程前期 修了)

 家裁調査官として仕事を続けていく上で,もっと心理臨床の知識を得たいと思うようになったことが,大学院に進学した動機です。家庭裁判所の調査官と聞くと,法律系の仕事と思われる方もいるかもしれませんし,私も大学では法律を専攻していましたが,当事者と面接をしたり人間関係の調整をしたりするには心理学の知識は欠かせません。裁判所の研修で心理学の知見を学ぶ機会はたくさんありますし,同期や先輩は独学で勉強をするなど勉強熱心な人が多いのですが,私はどちらかというと勉強不足で,知識が足りていないという漠然とした不安をずっと抱えていました。そんな時に,福大に夜間の大学院があることを知りました。大学院併設の心理センターでカウンセリングの実習ができることも福大への進学を決めた大きな理由でした。入学してみると,仕事と学業の両立は想像以上に大変でしたが,先生方や同期の支えもあり何とか修了することができました。仕事での面接とカウンセリングは,目的や構造など違う部分も多いですが,クライエントと向き合い,傾聴する経験を重ねることは,家裁調査官として人と向き合う姿勢にも大きな影響を与えてくれたと思います。私が入学した年は,私と同様に仕事をしながら大学院に通っている同期が多く,教育,医療,福祉など,それぞれの現場の実情を聞くことができたことも大変勉強になりました。「学びたい」と思った時が,学ぶべき好機なのだと自分の体験を通して実感しました。苦しい時期もありましたが,福大で学ぶ機会を得られたことは,職業人として人として大きな財産になったと思います。