2020.11.01

学生による学会発表(英語学英米文学専攻)

英語学英米文学専攻所属の学生が10月24日~28日に開催された日本英文学会九州支部第73回大会(ウェッブカンファレンス)で発表を行いました。
プログラム等は下記の学会ホームページでご覧いただけます。
http://kyushu-elsj.sakura.ne.jp/

発表のタイトルと概要は以下の通りです。

「音節構造と母音持続時間――英語の一音節語の場合」
石橋 頌仁(英語学英米文学専攻博士課程前期1年)

【概要】
世界の複数の言語において、閉音節に先行する母音の持続時間は短いということが指摘されている。では同じ閉音節同士で比較した場合、頭子音及び尾子音の数が母音持続時間に影響するのであろうか。本研究では、音節構造が異なる複数の単語の母音持続時間を比較し、頭子音及び尾子音の増加が母音持続時間に対してどのような影響を与えるのかを明らかにするために、英語母語話者に対して音声産出実験を行った。各単語の母音持続時間に対する分散分析及び多重比較の結果、英語の一音節語において、同じ閉音節中であっても、尾子音の数が増えることにより、母音持続時間がより短くなるという傾向が示されたが、これは頭子音が存在する場合に限られることが明らかとなった。また、頭子音が増えた場合には母音持続時間の長さは大きく変わらないということが示された。

「英語における音象徴――ヒーローのイメージに関する実験研究」
神谷 祥之介(英語学英米文学専攻博士課程前期1年)

【概要】
音象徴の議論において、有声阻害音は汚いなどのネガティブなイメージを喚起するとされている。これに関連して、音と悪役らしさの結びつきについては、有声阻害音は無声阻害音よりも悪役の名前に選ばれやすいことが報告されており、獲得が遅い子音ほど悪役らしさという印象に結びつきやすいことも示されている。しかし、悪役とは対極の存在であるヒーローの名前における音象徴については未だ検証が行われていない。そこで、本研究では、ヒーローの名前としてどのような子音が選択されやすいのかを検証するために、イギリス出身の英語母語話者に対して無意味語を用いた知覚実験を実施した。実験の結果、悪役名に見られた音象徴のパターンとは対照的に、無声阻害音の方が有声阻害音よりもヒーローの名前として選択されやすく、また、獲得が早い子音ほどヒーローらしいというイメージに結びつきやすい傾向が示された。

このほか、福岡大学人文学部英語学科の4年生や英語学科教員である鶴田学先生や福原俊平先生による発表も行われました。