2020.10.23

学生による学会発表(英語学英米文学専攻)

英語学英米文学専攻所属の学生が10月23日に開催された日本方言研究会第111回研究発表会(オンライン開催)で発表を行いました。
日本で唯一の方言に関する全国学会として歴史と伝統のある研究会ということで、多数の参加者による活発な議論が行われました。
プログラム等は下記の学会ホームページでご覧いただけます。
http://dialectology-jp.org/

発表のタイトルと概要は以下の通りです。

「鹿児島方言における言語変化:韻律体系と音節の時間制御の観点から」
神谷 祥之介(英語学英米文学専攻博士課程前期1年)
石橋 頌仁(英語学英米文学専攻博士課程前期1年)
竹安 大(福岡大学人文学部)

【概要】
鹿児島方言はシラビーム方言に属し、伝統的には韻律(トーン)体系および、音節の時間制御の面で、東京方言などのモーラタイミング方言や韓国語等の音節を単位とする言語とも異なる特徴を持つことが知られている。また、近年の若年層の発話には、東京方言の影響を受けた変化が現れていることが報告されており、鹿児島方言は韻律体系と音節の時間制御の両面で言語変化が進行していると考えられている。しかし、これら2つのプロセスがどのように関わり合っているのか、また、どちらの方が保持されやすい特徴であるのかという観点からの研究は未だ行われていない。これを調べるために、本研究では、先行研究で用いられた高年層と若年層の鹿児島方言話者の音声産出データの再分析を行った。分析の結果、鹿児島方言における言語変化の過程では、韻律体系と音節の時間制御の面の変化には有意な相関は確認されず、これら2つのプロセスは独立した変化であることが示唆された。また、韻律体系の方が音節の時間制御の特徴よりも保持されやすいことも示された。