2020.04.24

学生による学会発表(英語学英米文学専攻)

英語学英米文学専攻所属の2名の学生が、2020年4月18日(土)に開催された福岡言語学会(FLC)2020年度第1回例会(オンライン開催)で学会発表を行いました。

プログラム等の詳細は以下の学会ホームページでご覧いただけます。

https://sites.google.com/site/fukuokalinguistic/

 

コロナウイルス感染症の影響で、オンラインによる口頭発表という形での発表となりましたが、活発な質疑応答が行われました。

発表のタイトルと要旨は以下の通りです(要旨は福岡言語学会HPより)。

  • 石橋 頌仁 (英語学英米文学専攻博士課程前期1年)
    「長音と促音の知覚におけるF0変動の影響の非対称性」

【要旨】
日本語の長音と促音の知覚において、当該音素の持続時間が主要な手掛かりであることが知られている。また、F0 変動は長音の知覚において影響を与えることも知られており (Takiguchi et al.2010)、促音の知覚に対しても F0 変動が影響を与えることも知られている (Kubozono et al. 2011)。しかしこれらの研究は、隣接する要素のピッチ変動が当該音素の音韻的長短の知覚に与える影響にのみ焦点を当てており、隣接する要素の知覚される音韻長が変化した際のピッチ変動が当該音素の音韻長の知覚に与える影響については不明確である。そこで本研究では、隣接する要素の知覚される音韻長が変わった際にも、ピッチの影響は長音と促音の知覚において一貫しているのかを知覚実験を用いて検証する。知覚実験の結果、ピッチの影響は音韻長の知覚において一貫しておらず、また、隣接要素の知覚された音韻長によってもピッチの影響は変化した。

 

  • 神谷 祥之介 (英語学英米文学専攻博士課程前期1年)
    「悪役名の音象徴:日本語母語話者に悪役らしさを喚起する子音の調査」

【要旨】
音象徴の議論において、有声阻害音は悪役らしいと判断される傾向にあるが、両唇音は悪役らしくないという印象を持つとされる(Hosokawa et al. 2018)。しかし、神谷(2019)は、条件を厳密に揃えた上で実験結果を比較すると、上に挙げる傾向は常に得られるわけではなく、さらに、幼児の音韻獲得における子音獲得の時期と子音が喚起する悪役らしさの度合いは相関関係にあると報告した。しかし、この報告は英語母語話者のみに行った実験から得られたものであり、他の言語においても同じ傾向が見られるかどうかの調査は未だ成されていない。そこで、本研究では、神谷(2019)と概ね同じ形式の実験を、日本語母語話者 112 名(分析対象 62 名)に対して行った。その結果から、神谷(2019)で英語母語話者に確認された傾向が、他言語においても見られる可能性を示す。