2025.04.23

私の最近の研究について 吉岡久美子(村上久美子):教育・臨床心理専攻

2024年1月にAdvances in Mental Healthに掲載された「Brief report: quality of older Japanese adults’ first aid intentions for mental disorders」(Kumiko Yoshioka, Alyssia Rossetto)を紹介します。

この研究は、日本の高齢者のメンタルヘルス・ファーストエイドについてまとめたものです。メンタルヘルス・ファーストエイドとは、メンタルヘルスに関する問題を抱える人に、適切な初期対応を行うための知識やスキルのことです。適切な声かけや支援、専門機関への橋渡しを行うことが目的です。豪州の Betty A Kitchenerらにより開発されました。今回の研究からは、高齢者のメンタルヘルス・ファーストエイドの特徴として、傾聴してコミュニケーションをとることや専門的な支援を促すことを重要視していること、危機的状況の評価やそれの判断については行動にためらいがあることなどがわかりました。メンタルヘルス・ファーストエイドの質を保証することは、一人ひとりへの早期支援にとどまらず、社会全体のメンタルヘルスの維持・増進にもつながるといわれています。

 

文献:https://doi.org/10.1080/18387357.2024.2305725