2024.11.07

日本史専修の研修旅行で岡山市・福山市に行ってきました!

日本史教員の山田です。大学院史学専攻日本史専修では、古文書や文化財の実物調査に必要な技術や知識を高めるとともに、歴史の舞台となった現地を訪れる大切さを学ぶために、つどつど研修旅行を計画・実施しています。今回は10月26日・27日に、院生4人と学部生1人、教員2名で岡山市・福山市に行ってきました。その様子をレポートします!

 

26日の午前は、博多駅から新幹線で岡山へ移動。最初に訪れた先は、岡山城の内堀のすぐ横にある林原美術館です。林原美術館は、岡山の実業家だった故林原一郎氏が蒐集したコレクションを母体とする美術館です。旧岡山藩主池田家の旧蔵品も多く所蔵されています。訪問した時には開館60周年ということで、一般の方と学芸員や研究者の方が「選挙」して選んだ作品を展示するという、一風変わった名宝展「みんなで選ぶ、林原美術館名品総選挙」が開催されていました。観覧にあたっては、橋本学芸員に作品の見方、由来、それぞれに付随する興味深いエピソードなどをじっくり解説いただきました。

昼食をとった後には、この日のメインたる岡山城を訪れました。岡山城は宇喜多直家が築き、その子息秀家、小早川秀秋、そして池田家の居城となってきた大きな近世城郭です。ところどころに各時代の特徴的な石垣が残されています。また、不等辺五角形という変わったつくりをした復元天守は改修工事が終わったばかり。内部の展示も充実しており、岡山城と城下町の歴史をよく理解することができました。

 

27日は福山市へ移動し、まずは鞆の浦へ。古来より瀬戸内海交通の拠点として栄えてきた歴史的な港町を巡見しました。立ち寄った朝鮮通信使も絶賛したという眺望を持つ対潮楼や、幕末に起こった蒸気船の衝突事故「いろは丸事件」で鞆の浦に逗留した坂本龍馬ゆかりの宿など、当時の建物がいまも少なからず残っており、かなり面白い巡見となりました。

午後は福山市中心部に戻り、「ふくやま草戸千軒ミュージアム」広島県立歴史博物館を訪れました。名称が示すように、ここは鎌倉時代から室町時代に繁栄した中世都市「草戸千軒」の発掘成果を踏まえ、中世の民衆の生活と文化をメインテーマのひとつに据えた博物館です。観覧にあたっては、考古学がご専門の杉山学芸員から、草戸千軒遺跡の発掘経緯や特徴、発掘によってわかってきた人々の暮らしの様子などを、わかりやすく解説していただきました。

 

短い旅程でしたが、古文書から美術工芸品、出土遺物、城跡に至るまで、日本史に関するさまざまな「生の痕跡」を目の当たりするという、刺激的で濃密な2日間となりました。橋本学芸員、杉山学芸員をはじめ、ご対応いただいた皆さん、本当にありがとうございました!